以前こちらの記事で初心者向けの投資について解説しました。

中でも初心者が投資を行ううえでおすすめしたいのは断然「投資信託」です!
今回は投資信託をおすすめしたい理由と、実際に投資信託を選ぶうえで重要な5つのポイントについて解説します。
目次
投資信託をおすすめしたい理由
まず、なぜ投資信託が初心者におすすめしたいのか、その理由です。
簡単な表現でまとめると次の3つです。
- リスクが少ない
- 手間がかからない
- 安全性が高い
①リスクが少ない
投資信託というのは個別の株式と違って自分で銘柄を選ぶ必要はありません。運用を考えるのは”ファンドマネージャー”とよばれる運用の専門家です。
このファンドマネージャーは運用方針などに沿って株や債権などに分散投資するのが基本で、資金を分散させるので短期的に大きな値上がり益は狙えません。しかし裏を返すと大きな値下がりもしにくいということです。

また投資信託の大きなメリットは中・長期にわたる積立投資にあります。
これは毎月1万円といったように期間と金額を決めて積立を行い、積み立てた金額がそのまま運用されるものです。
この長期にわたる分散投資は”ドルコスト平均法”といわれ、リスクの低減をはかるのに絶大な効果を発揮します。
ドルコスト平均法の説明を行う場合は株と比較すると分かりやすい。株の場合はいかに安いときに買うかが全てといって過言ではありません。でも肝心の安いときが分からない。
逆に安いときにはもっと下がるかも?と疑心暗鬼になり好機を逃す…そんな人間の意志や感情が入り込むので株式は難しいのです。
一方、積立投資は高い時でも安い時でも一定額をたんたんと積み立てます。そこには人間の意志などなくまるで機械のように。この投資法では株価が下がったときでもきちんと買うことができるため、投資金額を平均的に保つことができるのです。
下のグラフは僕の投資信託の運用状況です。

黒い点線より上にはみ出している部分が含み益で下が含み損です。
僕は毎日1,000円の積み立てを3年近く行っていますが、積立当初はほとんど利益がないことが分かると思います。
グラフの真ん中あたりで大きく下回っている部分は含み損が8万円ほど、直近の凹みはコロナショックによる大暴落で、このときは11万円ほどの含み損でした。
ここで慌てて解約をすると損して終わりですが、こういった局面でもたんたんと積み立てる(なんなら積立額を増やす。僕は1,500円に上げました)ことで、2020/4月末現在では含み損が解消されていることがお分かりいただけると思います。
このように、ドルコスト平均法を使うことで、時間というものを味方につけ資産を増やしていくことができます。
②手間がかからない
①でも触れましたが、基本的に投資信託は商品を決めて積立の設定をすれば、あとは放置で大丈夫です。頻繁に運用状況を確認する必要はありません。これが手間がかからない理由です。
この仕組みは初心者だけでなく、忙しい会社員などにとっても投資のハードルを下げてくれます。
③安全性が高い
実は投資信託は3つの金融機関が連携して運営されています。
会社別 | 役目 |
販売会社 | 投資信託を販売するところ(銀行、証券会社、郵便局) |
運用会社 | 実際の運用を行うところ(ファンドマネージャーがいる) |
受託会社 | 運用資産の管理を行うところ(信託銀行) |
私たち顧客と直接やり取りするのは販売会社ですが、そのお金は受託会社で管理されています。
仮に銀行や証券会社がつぶれたとしても、自分たちが預けたお金というのは信託銀行で管理されているので安全なのです。
信託銀行がつぶれるという可能性も0ではないですが、投資信託でお客から集めたお金は会社のお金と別で管理するよう法律で定められているので、そういった面でも資産を安全に保管できる方法もあります。
投資信託の選び方 5つのポイント
投資信託のメリットは分かりましたが、実際にどのような投資信託を選べばよいのでしょうか?何と言っても日本だけでも販売されている投資信託は5000種類とも言われています。
- 信託報酬(運用管理費用の安い商品を選ぶ
- 販売手数料の安いネット証券で購入する
- 毎月配分型は選ばない
- ファンドの資産規模が小さすぎない
- インデックスファンドを選ぶ
各項目を詳しくみていきましょう。
①信託報酬(運用管理費)の安い商品を選ぶ
投資信託には以下3つの手数料があります。
手数料名 | 内容 | 平均値 | |
1 | 販売手数料 | 購入時に1度きり | 3.2% |
2 | 信託報酬 | 継続的に支払い続ける | 1.5%/年 |
3 | 信託財産保留額 | 解約時に1度きり | 0.3% |
1、3は1度切りの手数料ですが、2は投資信託を保有している限り払い続ける手数料です。(平均値は金融庁作成資料から引用)
例えば、投資額が200万円で信託報酬が1%の場合は、毎年2万円の手数料を払う必要があります。つまり、年間の運用パフォーマンスがこれを上回らないと永遠に資産を増やすことができないのです。
そういった点でも、信託報酬の低いものを選択するというのは重要です。
信託報酬の年率は、ネット証券の検索画面で調べることができます。下図は松井証券のサンプル画面です(他のネット証券でも同様のことが可能です。)

オレンジで囲っている部分が信託報酬の年率で、昇順、降順で並べ替えもできるので、簡単に把握することができます。
まずはランニングコストである信託報酬の低いものを選ぶのが鉄則。(0.1%~0.2%くらいが目安)
ただし、一番低いものが一番よいとは言い切れないので、他ほポイントと合わせて総体的に判断する。
②販売手数料の安いネット証券で購入する
①の項目でも触れたとおり、販売手数料とは購入時に1度だけ支払う手数料ですが、これも出来れば安く済ませましょう。
投資信託の販売は、証券会社、銀行、郵便局といった金融機関で行われていますが、この中でもネット上で売買を行うネット証券では”ノーロード”といって販売手数料がかからないものが主流です。
例として①と同様に松井証券の検索画面でみてみましょう。
購入時の売買手数料がすべて”なし”ですね。

これは証券会社間の競争原理が働いた結果といえますが、この流れは銀行などにも波及しており、インタネットバンキングで売買するものはノーロードのものが増えています。
対して、銀行や証券会社問わず、実店舗での対面販売では手数料がかかるものが多いです。
つまり、ざっくりいうとこういうことです。
- 店舗販売
販売手数料 → かかる
説明や対応 → 対人により丁寧に - ネット販売
販売手数料 → かからない
説明や対応 → 自分で情報を精査
実店舗では確かに対面で丁寧な対応が行われますし、疑問点などがあれば質問して解消することもできるでしょう。ただし金融機関も商売ですから、必ずしもお客様を第一に考えた商品を案内するとは限らないです。(金融機関の利益に結び付くものをおススメされるなど)
そう考えるとWEBサイト等に掲載されている情報などを自分で把握し、商品を選べる目を養うことが、最終的にはお得な商品を選べる確率があがるでしょう。
コストを下げる意味では、ネット証券を選択すれば間違いない
③毎月配分型は選ばない
投資信託には「毎月分配型」というものがあります。これは一か月ごとに決算を行い、得られた収益の一部を顧客に分配していくというものです。
投資信託の運用を続けながらも、実際目に見えるかたちでお金を受け取れるので、割と人気があったりします。
しかし毎月分配型は強くお勧めしません。
その主な理由は次の4点です。
- 毎月分配することで投資の複利効果が得にくい
- 収益を分配する場合に都度税金がかかる
- 収益が分配金を下回ると元本を取り崩して分配する
- 信託報酬が高い傾向にある
投資信託の利益を生む大きなメリットは”複利効果”です。
複利は人類最大の発見ともいわれますが、投資における複利効果は非常に大きく、運用によって得られた利益を運用資金に組み入れていくので、長期的に運用していくほど利益が大きくなります。
毎月分配型はその利益を録り取り崩していくので、大きく運用益を増やしていくのに向いていないのです。
ただしセカンドライフに突入する世代などは、将来に向けて大きく資産を増やしていくというよりは、ゆとりある生活に向けてうまく使っていくことも必要。そういったライフステージによって選んでいくのがいいでしょう。
毎月分配型はこれから大きく資産を増やしていきたい世代には向かない商品である
④ファンドの資産規模が小さすぎない
いいかなと思う投資信託があったら資産規模(純資産総額)を確認しましょう。
純資産総額が大きいということは、より多くの支持を得ているということになります。ただし現在の資産額だけでなく増減の傾向もチェックします。
純資産が増加傾向の投資信託は、多くの顧客から買われている人気の商品と言えます。一方、投資信託の運用が不調な場合は”買い”よりも”売り”が多くなる傾向にあるため純資産も減少傾向となります。
資金が集まらないと安定的に運用することができないため、運用を途中で停止してしまう可能性も出てきます。純資産総額は右肩上がりで増加しており、総額が30億円以上あるものが理想的といえます。
純資産総額は”目論見書”で確認できます。

上記の目論見書では純資産総額(黄色部分)が順調に増加しているのが分かります。
純資産総額が低すぎず、増加傾向にある投資信託を選ぶ
⑤インデックスファンドを選ぶ
投資信託には大きく分けて次の2つに分類することができます。
手数料名 | 内容 | |
1 | インデックスファンド | 指数に連動して運用されるもの |
2 | アクティブファンド | 専門家が株や債権などの銘柄を選んで運用するもの |
インデックスファンドの”指数”というのは、日経平均やTOPIX、NYダウなどのこと。
- 日経平均
東証1部上場企業のうち225社の平均株価 - TOPIX
東証1部上場企業の全銘柄の平均株価 - NYダウ
ダウ平均株価としてアメリカのさまざまな業種の代表的な銘柄の平均株価。工業株30種平均株価であればアップルやIBM、Microsoftなどが入っている
上記のように、指数とは複数の企業の平均株価であり、インデックスファンドというのは、指数に沿って機械的に買っていくためファンドの人件費も少なくて済みます。
対してアクティブファンドは、「今この会社が調子いい」「これから伸びそうだ」「これからはこの国だ」といった感じでプロが市場などをリサーチして運用先を決めていくものです。よって必然的に人件費は高くなるので信託報酬等に反映されます(ランニングコストが高くなる。)
質のよいアクティブファンドも存在しますが、どの会社が上がるか下がるか…というのを永続的に当て続けるのは難しい。というか不可能。
こういったことから、まずはインデックスファンドをおすすめします。
アクティブファンドは手間ヒマかかるためコストが高くなるうえに、運用成績が必ずしもインデックスファンドに勝てるけではない。まずはインデックスファンドから始めよう。
まとめ
数多くある投資信託を選ぶ際の5つのポイントをご説明しました。
厳密に考えると、その人の目的や考え方によっても選び方の優先順位は異なるものですが、今回ご紹介したポイントは「いかにムダなコストを掛けずに運用利益をあげていくか」という方向だという理解でいてください。
それでもなかなか商品選びに迷う場合は、各ネット証券のトップページなどに掲載されている売れ筋やランキングなどをベースに、今回のポイントを組み合わせて判断してもいいかもしれません。