新型コロナウイルスの感染拡大により収入が減り、学費が払えない…そういった現状があるという記事が掲載されています。
バイト代激減、学生困窮 食費1日300円でしのぐ 学費払えず退学視野(YAHOOニュース)
なかなか刺激的なタイトルであり、ツイッター上では「学生困窮」というハッシュタグまで作られて拡散されているようです。
しかし、実は学生に関する支援措置も用意されています。大事なのはそういった情報がきちんと伝わっていないこと。
今回は収入減等により困窮している学生に対する支援内容を深堀して解説します。
目次
学生への支援制度について
新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した学生等への支援としては現状2つの選択肢があります。
- 高等教育修学支援新制度
- 貸与型奨学金
本記事では、まず優先的に利用したい(減免及び給付型として返還する必要がないため)「高等教育修学支援制度」について、以下の項目を深堀していきます。
- 制度の概要
- 具体的な支援内容
- 対象者
- 申請方法
こちらはコロナの影響に対する制度内容をコンパクトにまとめた資料です。

高等教育修学支援新制度について

①制度の概要
高等教育就学支援新制度は2020年4月から開始された新しい制度で、家庭の経済状況に関わらず、大学、短期大学、高校、専門学校に進学できるチャンスを確保できるよう国が経済的な支援を行うというものです。
元々はコロナ感染が発生する前から検討されていた制度で、導入時期が同タイミングだったこともあり、急遽コロナ感染拡大に伴う影響を考慮した条件等を追加したものです。
②具体的な支援内容
本制度の支援内容は次の2つです。
- 授業料・入学金の免除または減額
- 給付型奨学金
実際にどのくらいの支援が受けられるかは、世帯の収入、学校の種類(高校、大学、専門学校等の別)、自宅通学か一人暮らしかによって異なります。
私立大学 自宅以外から通う |
私立専門学校 自宅から通う |
|
給付型奨学金 | 約91万円/年 | 約46万円/年 |
授業料 | 上限約70万円/年 | 上限約59万円/年 |
入学金 | 上限約26万円/年 | 上限約16万円/年 |
支援額の詳細はこちらからご確認ください。
③対象者
この制度を利用するには次の条件を満たしている必要があります。
- 住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯
※非課税になる年収の目安:4人家族で380万円以下 - 学ぶ意欲がある学生であること
上記は前年の所得をもとに計算されますが、”予期できない事由”により家計が急変した場合は急変後の所得の見込により要件を満たすことが確認できれば支援対象になります。
この「予期できない事由」とは次の4項目です。今回のコロナウイルスの感染拡大に伴う影響は、下表のDを適用することで対象を判断します。
A | 生計維持者の一方(又は両方)が死亡 |
B | 生計維持者の一方(又は両方)が事故又は病気により、半年以上、就労が困難 |
C | 生計維持者の一方(又は両方)が失職(非自発的失業(※)の場合に限る。) |
D | 生計維持者が震災、火災、風水害等に被災した場合であって、次のいずれかに該当 ①上記A~Cのいずれかに該当 ②被災により、生計維持者の一方(又は両方)が生死不明、行方不明、就労困難など世帯収入を大きく減少させる事由が発生 |
対象となるかを判定は「進学資金シミュレーター」から調べることができます。

シミュレーターはスマホアプリからも実行することができますので、お好みで選択してください。
学生本人がアルバイト等で学費を賄っている場合は?
なお対象者の基準はあくまで世帯ベースとなっていますが、学生本人がアルバイト等により学費等を賄っている場合に考慮して次のような配慮がなされています。
3.学生等本人のアルバイト収入の減少があった場合
新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて、アルバイトをしている学生等が何らかの影響を受けているという声があるものと認識しています。生計維持者の収入等に大きな変化がないような状況においても、学生等のアルバイト収入の減少等により、新たに給付型奨学金・貸与型奨学金の利用を希望される場合には、4月から募集を行う「在学採用」にお申込みいただきたいと考えています。
④申請方法
基本的な申請手順は以下の流れで行います。
- 申込案内などを学校から受け取る
- 申込案内を確認しながら必要な書類を揃える
- 学校に必要な書類を提出して、奨学金はインターネットで申し込む
②の必要な書類に関しては、コロナによる影響で国(または自治体)から受けた他の公的支援の受給証明書(申請時点でなければ後日提出)と、前述した進学資金シミュレーターを実施した結果のコピーを提出します。
また申請時期について、本来の制度は年2回(4月、10月)が申請月として定められていますが、コロナによる家計急変の特例の場合は随時申請することができます。
貸与型奨学金との併用
高等教育修学支援新制度の他に、従来からある貸与型の奨学金も同時に受けることができます。
貸与型奨学金は従来から家計が急変した学生等を対象に緊急採用・応急採用を行ってい
ますが、コロナウイルスの影響を受けた場合も、随時申し込みを受け付けるとされています。
併用する場合は、第一種奨学金(無利子)は金額の制限がありますが、第二種奨学金(有利子)は希望する額を利用することができます。
各連絡先等
最後に各連絡先や情報掲載場所をまとめます。
関連サイト
連絡先
- 日本学生支援機構 奨学金相談センター
電話:0570-666-301(月~金,9:00~20:00)
- 各大学・専門学校等の学生課や奨学金窓口
申込手続きのスケジュールや個別の提出書類は,在学中の学校の学生課や奨学金窓口に相談してみましょう
まとめ
コロナウイルスによる影響は収束するまで長い時間がかかるでしょう。そうなると必然的に収入減などの経済的な影響が今後増々目に見える形で増えてくると思われます。
制度を知らないばかりに、冒頭のニュースのような”退学も視野に…”といった考えに行きつくのはやるせないです。
記事冒頭でも触れましたが、公的制度というのは必要な個人に対してきめ細かく制度をお知らせしてくれません。というか、いつ、どこの誰にその制度が必要か行政は把握できませんからムリですよね。
本来はマスコミの役目だったりしますが、例のYAHOOニュースのように不安ばかりを煽って肝心の対策を紹介しないという報道の仕方が目立ちます。
そうなると自らがいかに情報収集をするかにかかっていますので、是非本ブログも参考にしていただければと思います。