家計の見直しにおいて、まず一番に取り組みたいのが”固定費の見直し”です。
固定費とは光熱水量や家賃のように、毎月一定額を支払っていくものですが、この見直しを行うことの効果はとても大きい!なんといっても一度削減をしていけば効果が持続していくのですから。
今回は固定費を見直していく際のポイントを中心にご説明します。
目次
モデルケース
固定費見直しを行うにあたり、当ブログの登場人物「こうじくん」の家計をモデルケースに設定したいと思います。
収入 | ||
– | 手取り収入 | 220,000 |
支出(固定費) | ||
① | 家賃 | 70,000 |
② | 通信費 | 18,700 |
③ | 水道光熱費 | 12,170 |
④ | 保険料 | 13,620 |
⑤ | 習い事 | 10,000 |
⑥ | その他 | 10,000 |
支出(変動費) | ||
– | 食費 | 42,000 |
– | 日用品 | 14,380 |
– | 交際費 | 29,886 |
– | その他 | 10,106 |
支出合計 | ||
– | ― | 230,862 |
今月の収支 | ||
– | ― | -10,860 |
手取り額よりも支出額が上回っていますから、当然貯金も出来ていません。もう20代後半のこうじくんにとって、これではあまりにも心もとないです。
20代は収入も少ないですが、結婚や子育てといった大きなライフイベントを迎える前であれば貯金をしやすい年代でもあります。
将来的な結婚や子育てを見すえ、最低限の貯金ができるだけの家計を構築しましょう。そのためにはどのように固定費を見直せばいいか、次項でそのポイントを解説します!
固定費見直しのポイント
家計の見直しはダイエットに似ています。
ダイエットのために好きな食べ物やお菓子を我慢していくのは、変動費(交際費やレジャー費など)をがんばって削減しているようなもの。この手法は”ガマン”が伴うので継続が難しいのです。
反対に固定費の削減は、筋肉をつけることで基礎代謝を上げ太りにくい身体を作っていくことに似ています。一度そういった身体づくりをしていけば、長期にわたって良好な状態を維持することができるのです。
さて、そんな長期的な削減効果を生む取組について、各支出別に一つずつ診断していきましょう!
①家賃

引っ越し
家賃は一般的に「収入の30%」が相場といわれています。こうじくんの場合、手取り(220,000円)の30%は66,000円ですから、この相場よりも割高な家に住んでいることになります。
また総務省の統計(平成 30 年住宅・土地統計調査)によると、家賃の全国平均は 55,675 円となっています。もちろん住んでいる地域によって異なりますが、少なくとも平均は超えているわけです。
こうした世間の一般的な基準に照らし合わせると、生活スタイルが多少変わるかもしれませんが、引っ越しによる家賃の削減は是非取り入れたいところです。
住宅ローンの借り換えを検討する
持ち家で住宅ローンを抱えている人は、現在の金利を照らし合わせて、より金利の低いローンへ借り換えするのもアリ。
例えば金利2.5%(5年固定)のローンがあと20年で2,000円残っている場合、全期固定型の金利1.3%のローンにすると毎月約11,000円、総返済額が約270万円減額になります。
こういったシミュレーションは各銀行等のサイトで行うことができますので、一度試してみましょう。
②通信費

通信費として考えられるものは、次のような支出です。
- 携帯電話料金
- インターネット回線(プロパイダ含む)
- 固定電話
それぞれ次の切り口で見直しを検討してみましょう
契約プランの見直し
ドコモ、au、ソフトバンクの大手キャリアを割と長く利用していて、一度も契約プランを見直していない人は、見直しでほぼ確実に料金を下げることができます。
というのも、2019年は大手キャリアにおいてプラン変動が大きく、以前よりも全般的に安くなっているのです。
大手キャリアの変化は、近年台頭している格安SIM(格安スマホ)の影響も大きいでしょう。
「理由があって大手キャリアを続けたい」「そもそも乗り換えがめんどくさい」という方は、ショップで30分程度の見直しにより月額数千円の削減が可能な場合がありますので、是非検討してみてください。
筆者が実際に行ったプラン変更事例はこちら。減らせた金額も共有します!

格安SIMへの乗り換え
格安SIMとは大手キャリアと比べて安い料金で利用できるスマホのことです。取り扱っているのはMVNO(Mobile Virtual Network Operator)とよばれる事業者で、ドコモなどから通信回線を借り受けて運営しています。
大手キャリアから格安SIMに切り替えることにより、現在の契約プランにもよりますが、最大で1/3程度まで料金を下げれる可能性があります。
通話品質、キャリアメールが使えない、中途解約の違約金等、切り替えることによるメリット、デメリットはありますが、料金自体は確実に下げれる効果がありますので、固定費削減の本命として是非検討したいところです。
インターネット回線の見直し
インターネット回線の特徴は契約2年目から徐々に料金が高くなっていくことです。
例えばS社の場合、初年度は割引額も高いため3,500円/月程度ですが、2年目から6,000円に上がります。多くは3年契約が多いため、知らず知らずのうちに高い料金を払い続けることになります。
回線及びプロパイダの乗り換えを行うことで料金を下げることができます。特に価格.com経由で契約すると数万円のキャッシュバックを受け取れることが多いため、少し面倒でも固定費削減の目的としては有効です。
③水道光熱費

水道光熱費は「水道」「電気」「ガス」のいわゆる生活に必要不可欠なライフラインです。これらの費用もここ数年の間でずいぶん選択肢が増えました。
電気量のアンペア契約変更
電力会社と契約する際アンペア数というものを指定しています。
アンペア数というのは一度に使うことができる電力の最大量で、これが大きければ一度に多くの家電を使ってもブレーカーが落ちません。その分基本料金が高くなる、という仕組みです。
新居に引っ越した当初は生活ペースがつかめていないことから念のため大き目のアンペア数で契約していることが多く、これを見直すことで電気料金を下げることができます。
家族構成の変化により使用料が減少した、または電子レンジやドライヤー、アイロンなどは同時に使わない…といった工夫ができるようであれば、是非見直しを検討してみましょう。
電力会社の見直し
従来は住む地域によって契約できる電力会社は決まっていましたが、2016年の電力自由化により色々な電力会社と自由に契約できるようになりました。
つまり競争原理が働くため、契約する電力会社によっては電気料金を下げれる可能性が大きいのです。
電力を供給する会社はいまや全国に500社以上あります。そして、それぞれの料金を比較に比較できるサイトもあるため、見直しも比較的簡単ですよ!
こちらの記事で詳しく解説しています。

電気&ガスのセット契約
電力自由化に対して、2017年にはガス自由化も行われました。ガス自由化の範囲は今のところ都市ガス(ガス管を使ってガスを供給するサービス)のみです。
このガス自由化により電力会社がガスも一緒に供給(またはガス会社が電力を供給)することが出来るようになりました。
つまり、同じ会社で電気もガスも契約することで、割引き等により料金を下げれることが多いのです。その他に支払明細の統合等のメリットもあります。
節約テクニック
水道光熱費はその使い方によって使用料を下げることもできます。昔からある「待機電源もOFFしましょう」といった”節約テクニック”です。
ただコレも意外とバカにできません。家電の進化もありうまく使うと結構な差が生まれてくるのです。
地味な取組ですが、逆にいえばだれでも簡単にできます。知っているか・知らないか、やるか・やらないか…ですね。
④保険料

保険の必要性の検討
生命保険、医療保険、学資保険と保険にも様々な種類があります。自分から積極的に加入したというよりも、進められてよく分からずに契約した…というケースも多いでしょう。
保険に加入していると何となく安心なイメージはありますが、本当に必要な保険かを十分検討する必要があります。
具体的には、独身なのか、夫婦のみか、その場合は共働きか、子どもはいるか…といった各ケースにおいて保険の必要性も変化してくるのです。
保険は見直しの効果が非常に大きいので、必要性の検討だけでも必ず行ってください!
生命保険見直しのポイントはこちらの記事を参考にしてみてください。

⑤習い事
習い事は自己投資として是非推奨したい取組です!
せっかくスキルを身に着けたい気持ちがあるのに、節約優先でその部分を切り詰めるのは、ある意味豊かな未来を放棄するようなものです。
つまり何でも切り詰めればいいのではなく、お金の使いどころと削りどころの見極めです。
ただし、会員になったものの通ったり、通わなかったりと中途半端な状態になっているものがあれば、継続か退会か判断していきましょう。
⑥その他
その他としてこうじくんの場合は、動画サービスや音楽などの定額サービスを契約しています。
近年サブスクリプションサービスが花盛りとなっており、一定の月額で動画サービスや音楽、ゲームや洋服、食べ物まで楽しめ、その範囲はとっても広いです。
1,000円前後で利用できるサービスが多いため割安に感じ、ついつい契約してしまいますが、中には利用頻度が低いサービスもちらほら出てくるはずです。
「1,000っぽっちだからまぁいいや」となりがちですが、ちょっと待ってください!その1,000円がチリも積もって大きなお金になるという現実を知りましょう。
こういったところにも手間を惜しまずに、きちんと見直しの手を入れていきましょう。
⑦車関係

さて、今回のモデルケースには含まれていませんが、一般的には車関係の支出は固定費の大きなウエイトを占めます。
ガソリンなどの変動するものも含めると、ざっと次のような種類があります。
- 車の購入費用(初期費用)
- 駐車場代(固定費)
- 自動車税(固定費)
- 自動車保険(固定費)
- 車検費用(固定費)
- ガソリン代(変動費)
この中で今後考えていきたいのが車の購入費です。なぜなら、車の購入を検討することは他の固定費の削減にもつながるからなのです。
さて、近年では車を所有する選択肢が増えました。代表的なものは次のとおりです。
- 車の購入(新車又は中古車)
- カーシェア
- 個人向けカーリース
①車の購入
純粋な意味で”車を所有する”といえるのはこちらの購入です。誰にも気兼ねすることなくいつでも利用できるのは、所有することの大きなメリットです。特に交通機関の発達していない地方では、移動手段として無くてはならないものでしょう。
また、ドライブを始めとする趣味としての所有もなかなか軽視できない部分があります。
一方コストで考えるとすごく大きい。購入時の初期費用はもちろん、駐車場や保険や税、ガソリンなどのランニングコストも高額です。
ここで考えたいポイントは、本当に所有しなければいけないのか、ということ。
ひと月あたりの使用頻度や用途、自分の価値観…そういったものを改めて整理し、持たない選択、または代替え手段は可能かについて考えるのです。
②カーシェア
所有する代替え手段として最近注目されているのがカーシェアです。
カーシェアとは一台の車を複数人で共有して使用する仕組みで、1,000円程度の月額料金と時間や距離に応じた利用料金を支払えば24時間いつでも利用できるというものです。
カーシェアで発生する費用は基本的に上記のみで、車検や保険、税、ガソリンといった負担は必要なくなります。
固定費を削減するという観点ではすごく効果的な選択といえます。
利用者も増加傾向にあり、今後増々便利になっていくと思われます。これからの車ライフの本命として是非前向きに検討していきたい選択肢です。
③個人向けカーリース
個人向けカーリースもここ数年で利用者を大きく伸ばしており、カーシェアよりも所有感が得られる利用方法です。
個人向けカーリースは一定の月額で車を借りれるサービスです。頭金なしで新車に乗ることができ、保険や税金関係も利用料に含まれているため固定費の管理が分かりやすい特徴があります。
一方で契約期間が定められていたり(中途解約ができない)、利用可能な走行距離がきめられているなど制約もあります。
このサービスの利用も、まずは自分の生活スタイルに合っているかの検討をしてから、所有する場合とのコスト比較をしてみましょう。
うまく利用すれば固定費を下げることができます。
まとめ
固定費を見直すためにはどういう項目をどう見直すか…という視点で解説しました。
全体でみると見直すべき項目が多いように感じますが、出来るものから少しずつ取り組んでいただいて構いません。
そのひと手間が、将来にわたって大きな資産を築く第一歩である、ということを理解して是非手を動かしていただければと思います。