貯金は将来への蓄えであり、日々の生活のリスクヘッジであり、ゆとりある生活の源泉でもあります。
ところがこの貯金ができないという人が非常に多い。
僕の会社の同僚には貯金がほぼない人も多く、中には給料日前日は毎回通帳の残高が0円になる人までいます。(←マジです)
この人は将来困ったら「ホームレスになってもいいし」というある種突き抜けた猛者?ですが、普通はイヤですよね(苦笑)
ということで今回は「貯金をしていきたいのに出来ない」といった方向けに、どのような取組を行えば貯金ができるのかについて解説していきます。
目次
貯金ができない理由
収入と支出の関係
お金が貯まらない理由は端的にいって、収入よりも支出が多い状態になっているからです。まずはこれを解消しないと始まりません。
一番怖いのは「何に使っているのかよく分からないが、お金がない…」というケースです。これだと原因が分からないので現状を変えようがありません。
では解消するためには何をするのか?その第一歩は家計の状況を把握することです。何にどのくらいのお金を使っているのかが分かれば、「削れないお金」「削っていいお金」選別することができるからです。

家計を把握するためには家計簿をつけることです。家計簿と聞くと「大変そうだし、続ける自信がない…」という方もいるかもしれませんが、そこまで堅苦しくとらえる必要はありません。
ずっと続ける必要はないし、1円単位まで細かく記録する必要もありません。自分である程度のルールを決めそれを習慣化し、最終的にある程度の傾向がつかめればよいのです。
家計簿に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

家計簿を使って家計の内訳を掴んだら、”削れるお金”と”削れないお金”を分別したうえで、削れるものは意識的に削っていきましょう。(具体的な削減方法については後述します。)
さてここまで話を進めましたが、中には「削ることばっかり考えないでそれ以上に稼ぐようにすればいいじゃん!そうすれば貯金できるよ」という声もありそうですね。
確かに一理あります、しかしことはそう簡単ではありません。いくら高収入であってもお金が貯まらない…そういった法則が存在します。
その法則は「パーキンソンの法則」といいます。
パーキンソンの法則
パーキンソンの法則とは、1958年にイギリスの歴史学者シリル・ノースコート・パーキンソンが提唱したもので、その内容は「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というものです。
これはどういう意味かというと、仮にあなたのお給料が25万円でも50万円でも、なんだったら100万円だとしても、必ず毎月その給料のほとんどを支出してしまうというものです。
所謂「あればあっただけ使っちゃう」ってやつです。
冒頭で紹介した給料日前日には口座が0円になる同僚…まさにパーキンソンの法則どおりの行動だったのです。
その他にも芸能人やスポーツ選手など高額な報酬をもらっていたはずの人たちが借金漬けになっていた…なんてケースも一つ二つ頭に浮かんでくると思います。
これは意識の問題なのか環境のせいなのか、様々な要因が考えられますが、ある一定の人間の行動を法則化すると辿り着く答えの一つのようです。
そしてこの法則のコワイところは仮に収入が減ったとしても、一度高まった支出は下げられないというものです。つまり一度上げた生活レベルはなかなか下げることが出来ないので、貯金どころか借金につながる可能性もある、というものですね。
このように収入の多い少ないと貯金の有る無しはあまり関係なく、鍵を握るのはやはり支出の削減になるのです。
貯金が捗る(はかどる)方法
貯金がなかなか出来ない要因について解説しました。今度はそれを踏まえたうえで貯金が捗る方法について解説します。
段階的に支出の削減を図る
先ほど「収入と支出の関係」で述べたように、現在の家計を把握した後に支出の内容を「削れるもの」「削れないもの」に分類します。
この際、優先度の観点から3ステップに分けて取組ことをおススメします。チーム分けすることで、より取り組むべきことが明確化されるからです。
- 【ステップ1】まずは明らかなムダを削減
- 【ステップ2】減らしすぎは問題だが工夫次第で削減可能
- 【ステップ3】ちょっと手間はかかるが効果の大きいものを削減
1つずつみていきましょう。
【ステップ1】まずは明らかなムダを削減
◆何に使ったかわからないお金
削っていいものの一番がこれです。コンビニでつい買っちゃうお菓子やペットボトル、ちょっとした時間つぶしで使うカフェ、たいして欲しくもない雑誌などなどついつい買ってしまうものはありませんか。
…と問われても思い出せないから「何に使ったかわからない」になるのですが、このあたりも家計簿をつけると見えてきます。そして1つ月まとめると結構な金額だったりもします。
本当に必要な買い物かどうか常に意識するようにしましょう。
◆水道・光熱費・通信費
これらは固定費の代表的な支出ですが、節水やこまめな電源OFFなど節約によるムダ削減はもちろん大事ですが、それ以上に効果的なのが電力会社の切り替えや契約変更、料金プランの変更といったものです。
こういった取組はすこし手間ですが、削減効果が継続するので効果が大きいのです。固定費の削減についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

◆サブスクリプションサービス
1つ1つは安くてもまとめると結構な金額になるのがサブスクリプションです。あまり使っていないサービスやなくても困らないものは、この機会に整理してみましょう。
【ステップ2】減らしすぎは問題だが工夫次第で削減可能
◆交際費
職場や友人とのお付き合いは社会人としてある程度は必要なものです。ただ必要以上にお金をかけるのも疑問です。例えば飲み会は3回に1回は断るとか、回数を減らす工夫をしてみましょう。
そもそも会社の飲み会に価値を感じられないなら、参加しないキャラを貫くのもいいでしょう。歓送迎や忘年会等の年中行事を最低限出席すれば、割と問題ないですよ(実体験)
◆習い事
自己投資は将来の収入増につながる可能性のある大切な支出です。またお金の問題だけでなく、豊かな人生を築くうえでも是非行うことをおすすめします。
この際独学することの可能性を考えてみましょう。今ではネットで様々な情報を得られる時代ですし、書籍も充実しています。行動力があれば様々なスキルを得ることも可能なので意識してみましょう。
また複数の習い事を行っている場合で、何となく惰性で続けているものがあれば思い切ってやめるのも手です。
【ステップ3】ちょっと手間がかかるが効果の大きいものを削減
◆保険費
一度加入した保険はそのまま放置されるケースが多いです。家族や生活環境に変化があれば見直ししたいのが保険。
またそもそも必要のない保険に加入しているケースもありますので、自分にとってその保険が本当に必要かチェックするのも重要です。
生命保険の必要性を解説しています。

◆車関係
車関係はローンや自動車保険、車検、税金、駐車場、ガソリン等と多額の費用を要するものです。最近ではシェアカーやリースなど車を持たない選択肢も増えています。
自動車の使用頻度や必要性を検討したうえで、思い切って所有から脱却するものありです。
給与天引き等による自動積立
特に意識や行動を起こさない人はパーキンソンの法則により「お金はあればあるだけ使ってしまう」という方向に流れがちです。そういった人がしっかり貯金を行っていくために効果的な方法は「給与天引きによる自動貯金」です。
これは考え方の転換でもあります。
使ってから貯める
↓
貯めてから使う
「使ってから貯める」タイプの人は、給料貰ったら〇〇円使って残りは貯金しようと考えます。しかし結果として毎回ギリギリまで使い切って貯金0というパターンが多いです。
まさにパーキンソンの法則といえますが、これを改善するには「貯めてから使う」タイプに考え方をシフトする必要があります。
そのために利用したいのが給与天引きをはじめとする自動積立です。
給与天引きであれば最初から手元にお金が来ないので使いようがありません。最初から無かったものとして扱えるため「いつの間にか貯まっていた」といううれしい瞬間を味わうことができます。
積立系の貯金には以下のものがあります。
商品名 | 申し込み先 | 特徴 |
財形貯蓄 | 勤務先 | 給与から天引きされる貯金 |
自動積立定期預金 | 都市銀行など | 毎月の積立日を自由に設定できる |
自動積立貯金 | ゆうちょ銀行 | 定額貯金、定期貯金のいずれかを選択できる |
iDeCo | 証券会社 | 積立しながら投資できる(定期貯金も選べる)。積立金額は税額控除できる |
おすすめの貯金額

貯金を行う習慣がある程度身に付いたとして、今度はいくら貯金するのがいいのか、金額について考えてみましょう。
本来であれば結婚、子育て、家、老後などのライフステージに向けて、いくらくらいの蓄えが必要なのかを計画し、その計画に対し逆算するように資産を積み上げていくことが望ましいです。
この辺りは考え方はライフプランニングの考え方として記事にまとめています。

ただし、これまで貯金の習慣が無かった人にはハードルが高い場合がありますので、まずは貯金習慣を定着させるため手取り月収の10%を手始めにして段階的に25%程度まで上げていくことをおススメします。
なぜ給与の25%なのか「4分の1天引き貯金法」
「4分の1天引き貯金法」という言葉があります。
これは日本の林学博士である本田静六博士が提唱した貯金法ですが、ひとつ例をだして説明します。
- 手取り月収20万円の25%を貯金
↓毎月5万円貯まり15万円で生活 - 毎月5万円を3か月貯める
↓15万円貯まり1か月分の生活費になる - 毎月5万円を1年間貯める
↓60万円貯まり4か月分の生活費になる(これだけあれば病気や失業したときの備えとなる) - 毎月5万円を10年貯める
↓600万円貯まり3年4か月分の生活費になる(結婚資金や住宅の頭金などライフプランの資金となる) - 毎月5万円を30年貯める
↓1800万円貯まり10年分の生活費になる(老後資金の一部となる)
10年もあれば当然生活費も上がるし給与も上がるので貯金額5万円、生活費15万円のままはないですが、毎月の小さな金額も年月を積み重ねることでやがて大きなお金に変わることはお分かりいただける思います。
こういった貯金法の肝は、とにかく若いうちから少額でも貯金を始めるということです。要するに時間を味方にするということです。
是非、20代から貯金習慣を身に着け、無理なく資産を増やしていきましょう。
まとめ
パーキンソンの法則からも分かるように、人間はなかなか意志が弱い生き物です。無意識に生活しているとなかなか貯金が出来ないため、目的意識を持つことが大事です。
そしてムリなく貯金を増やしていくためには時間を味方につける。そのため20代からの貯金スタートが重要ですね。
新型コロナウイルスの感染拡大をみてもわかるとおり、私たちの生活はある意味薄氷のうえに成り立っているともいえます。
つまり何か有事が起こった際は、これまで普通に送れていた生活が崩れることがあるのです。
そういった時に生活を支えてくれるのは蓄え、つまり貯金です。何かと自己責任が叫ばれる昨今ですから、ある程度の貯金は確保しておくようにしましょう。